野菜作りと人財

はじめに

家庭菜園好きの人財コンサルティング担当営業と会話していた際に、野菜作りと人財管理・人財開発に多くの共通点があることが話題になったので、私が野菜作りで実践している方法を交えながら、共通点を紹介していきます。

連作障害・土づくり

同じ場所で同じ野菜を何年も続けて栽培していると、生育が悪くなったり、病害虫がつきやすくなることがあります。

対処方法として、輪作することが手っ取り早いのですが、我が家でよく食べる夏野菜であるミニトマト、ナス、ピーマンはいずれもナス科であり、スペースが限られた家庭菜園で、3年、5年と間隔を空けることはまず不可能です。接ぎ木の苗を購入することにより回避することもできるそうですが、割高のため、購入したことはありません。

そこで、私は、堆肥を土に鋤き込むことによって対処しています。堆肥も購入すると割高なので、自作しています。堆肥の作成方法を語り始めると、それだけでこの欄を埋め尽くすことになりますので、割愛しますが、堆肥投入の効用は、土の中の微生物を多様化することにより、連作障害のリスクを減少させることにあります。

人財の場合でも、長期間、同一ポジションにいると成長が止まるばかりか、モチベーションが低下し、生産性も低下します。その対処として、ジョブローテーションや目標管理等により、成長に合わせて環境を変化させることが重要です。連作障害の対処は、堆肥を投入することにより、土壌環境をある意味一定に保つことでしたが、人財の場合は、逆に、環境を変化させることより成長の機会を促すことにあります。

トマトは成長して、やがて実をつけますが、トマトであることに変わりはありません。しかし、現在のグッドプレーヤーは名将になる可能性を秘めています。

コンパニオンプランツ

トマトの脇にバジルを植えると、トマトに不要な水分をバジルが吸収してくれるので、トマトの味が良くなります。逆に、ミントとイチゴの相性は、最悪で、我が家でも、イチゴとミントは相当な距離を取っています。書籍で知って実践したものの理由は明記されていませんでしたが、どちらも、地下茎、ランナーで勢いよく繁殖することが理由であると推測しています。

人財の場合でも、独りでできることには限界がありますが、チームで行動することにより、1+1=2以上の成果を出すことがあります。逆に、1+1=2以下の成果しか出せないことも見受けられます。
目的をチーム内で共有できたかどうかで、成否が分かれるとともに、メンバーの仕事に対するスキルアンマッチ、またはメンバー間のスキルがアンバランスなために失敗するケースが多いと考えています。メンバーの性格的な相性を管理することは困難ですが、スキルやコンピテンシーはデータとして管理し、活用することができます。

バンカープランツ

栽培する野菜に寄ってくる害虫とは異なる害虫を誘引することによって、害虫の天敵を増やす目的で栽培する植物をバンカープランツと呼びます。このような目的なので個人的には、バンカー(掩体壕)よりも、デコイ(囮)の方がふさわしい名前であると思っています。

我が家では、わざわざバンカープランツを植えるだけのスペースがないため、できるだけ多くの種類の植物(野菜以外の植物を含む)を栽培することによって、僅かなスペースにできる限りの多様性を実現し、天敵の棲家を増やしています。これまで、テントウムシ、クモ、カマキリが確認できましたが、残念ながら害虫を駆逐するには至っていません。

人財の領域では、ダイバーシティマネジメントが手法として採用されることがあります。人財の多様性を実現することにより、競争力を高めることが狙いです。2008年頃にお客様がダイバーシティマネジメントを採り入れたことにより知りましたが、真っ先に思い浮かんだのは、20世紀の終わりごろに読んだ野中郁次郎氏の著書「アメリカ海兵隊」でした。

性別や人種に限らず、異なる考え方を持つメンバーと接するだけでも、刺激を受けることができますが、我がチームはまだ小所帯で多様性まで至っていないので、「合理的革新」することができていません。

コラム担当:システムコンサルティング部
横須賀 亮介

※執筆者の所属は執筆当時のものであり現在とは異なる場合があります。