あなたは敏感?それとも鈍感?

はじめに

  • びん‐かん 【敏感】[名・形動]感覚や感度の鋭いこと。
  • どん‐かん 【鈍感】[名・形動]感じ方がにぶいこと。気がきかないこと。
(デジタル大辞泉)

あなたは周りから「敏感」と言われますか、それとも「鈍感」と言われますか。言葉の意味からも読み取れる様に「敏感」にはプラスのイメージがあるのに対し、「鈍感」には残念ながらプラスのイメージはありません。「あなたは流行に敏感だ」と言われれば、褒め言葉と捉える人が大多数である一方、「あなたは鈍感だ」と言われればいい気分はしません。傷ついたり、腹を立てるかもしれません。

しかし、「鈍感」であるという事は何も悪い事ばかりではないのです。「失楽園」の著者である渡辺淳一さんは『「鈍感」であることこそが現代を生き抜くカギであり、幸せを呼び込める』と唱えています。

鈍感力とは?

「鈍感」というと、一般的にマイナスのイメージがあるのは前述した通りです。俗に言う「空気が読めない」であるとか、「気が利かない」といったことです。だから鈍感ではなく、敏感な方が良いとされています。私自身も一緒に仕事をする人などには「敏感」でいて欲しいと思う1人ですし、自分も敏感でありたいと思っています。それはなぜか。冒頭で記載した「敏感」の意味である「感覚や感度の鋭いこと」の裏には「好奇心」と「配慮(心を配ること)」があると思っているからです。「好奇心」や「配慮(心を配ること)」がなければ、自分の周りで起こっている事にそもそも気付かないのです。

一方で渡辺淳一さんは、「鈍感であることは素晴らしいことである」という事をおっしゃっています。「鈍感力」とは、どんな時もくよくよしないで、へこたれずに物事を前向きに捉えていく力のことであり、傷ついてもすぐに立ち直れるし、いろいろなことを言われてもすぐに忘れられると。確かに完璧主義過ぎたり、責任感が強すぎて仕事を全て抱えたり、周りの言動を気にしすぎる人ほど、得てしてストレスでつぶれたりするものです。これは見方を変えれば「敏感」であるがゆえの弊害かもしれません。しかし、これは私の勝手な解釈ですが、渡辺淳一さんは何も敏感力がいらないと言っている訳ではないと思っています。ストレスが蔓延している世の中で、すごく簡単に言えば「みんな、気楽にいこうよ!!」というメッセージを送っているように思うのです。

モノの捉え方

私は常々物事を多面的に捉えるように意識しています。例えば、1000円の本を買う時に、それを出費と捉えるか、新たな事を知るための投資と捉えるか。海外旅行に行くのに、数十万円かかる旅費を出費と捉えるか、異文化に触れたりリフレッシュをするための投資と捉えるか。
今回の「敏感」「鈍感」もまさに良い例ではないでしょうか。

「敏感」:

  • (プラス面)気づく、気が利く、空気が読める  etc
  • (マイナス面)気にし過ぎる、立ち直れない、  etc

「鈍感」:

  • (プラス面)すぐ立ち直れる、くよくよしない、  etc
  • (マイナス面)気づかない、気が利かない、空気が読めない  etc

「敏感」=プラス、「鈍感」=マイナスではありません。考え方1つ、捉え方1つで全く違う景色が見えてくるのです。

おわりに

個人的には基本的に「敏感」でありたいとの思いに変わりはありません。職業柄、社内外問わず様々な方とお付き合いをさせていただいておりますが、クライアントや社内のメンバーの「思い」を感じ取るためには「敏感」である必要があります。友人や家族に対しても同様です。一方、本コラムで記述したように「鈍感力」というのも重要な要素であることを改めて感じています。

「敏感」、「鈍感」正反対な言葉ではありますが、一人の人間に共存していることは事実です。仕事、プライベートいずれにおいても、この互いに相反する感覚・感性をバランスよく上手に使い分けて行くことが、幸せを呼び込む切り札となるのかもしれません。

参考文献:

  • 『鈍感力』渡辺淳一 著 集英社
  • デジタル大辞泉

コラム担当:イノベーションデザイン部
福島 大輔

※執筆者の所属は執筆当時のものであり現在とは異なる場合があります。