Kinect is Cool!

Kinectとの出会い

先日、マイクロソフトに勤める友人の紹介で、品川本社のショールームを見学させて頂きました。
その際に、家庭向けのブースで「Kinect」と出会いました。
それまで「Kinect」を実際に試してみたことがなかったのですが、衝撃的なまでにcoolなインターフェースでした。
まずは、ショールームに設置されたTV画面の前に立ち、手を振りかぶり、そして振り下ろすとボーリングの玉がTV画面上をすぅっと流れていく、その動きがとても自然なのです。
私の手にはコントローラを持っていません。だから自然なのでしょう。この何ともいえないインターフェースの自然さ、というか柔らかさはかつて体験したことがありません。

Kinectはクールなインターフェース

さて「Kinect」をご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが、「Kinect」について少し解説をしておきます。
「Kinect」は、マイクロソフトのゲーム機Xbox360に対応したセンサーのことで、モーションや音声を認識します。
TVのラック中央に「Kinect」センサーを設置し、Xbox360と接続をします。「Kinect」を使ったゲームとしては、先に書いたようなボーリングなどのスポーツゲームや、ダンスゲームなど体の動きと連動するゲームが出ています。

「Kinect」のポイントは何と言っても“人間が特別なスーツを着たり、コントローラを持ったりしないこと”にあります。従来型のモーションキャプチャーインターフェースは、体にセンサーを持たせるために、特別なスーツを着たり、コントローラを持つタイプが一般的でした。コントローラを持ってしまうと、なんとなくコントローラのために操作をしているような感覚に陥りますが、「Kinect」は何も持たない状態で、センサーとなるモニターが人の位置や動きを認識してくれるので、とても自然な感覚でいられます。

インターフェースというもの

さて、インターフェースとは人間とコンピュータをつなぐ架け橋のようなものです。
コンピュータの生まれたときから今日まで、コンピュータの性能発展とともにインターフェースの発展が重要でした。先日逝去されたアップル社のSteve Jobs氏もインターフェースに徹底的にこだわったと言われています。

iPodのインターフェースはボタンの数が極端に少なく、ごくシンプルなインターフェースで構成されています。
Jobs氏はそのごくシンプルなインターフェースにさえ注文をつけ、まだホイール上部のボタンが削れるのではないか、などと言っていたと聞きます。

インターフェースはそれくらい重要であり、人間がいかに直感的にそしてシンプルに操作できるようにと苦心されて作られているのです。「Kinect」もまた、インターフェース開発者の努力から生まれた、非接触型のインターフェースとして次の時代を作っていくものと考えられます。

Kinectの展開

個人的には「Kinect」をゲームにとどめず、ビジネスへ展開していくことを期待しています。

たとえば、製造業への「Kinect」展開を考えてみます。
製造業では生産出来高を効率的にカウントするために、様々な手段を考えています。
たとえば、ハンディターミナルによるバーコードスキャン。これは正確な実績がとれる反面、スキャンの作業自体が手間となります。そして、RFIDによる電子チップスキャン。スキャンの手間が無い反面、電子チップ自体のコストや電子チップの印刷コストが高く、導入の障壁となっています。

そこで「Kinect」を使い、積荷の映像をキャプチャして出来高を把握するアプリケーションが有効ではないかと考えます。積荷場所に「Kinect」を設置し、積荷の映像をキャプチャさせ、いくつダンボールが詰まれたかをカウントしていきます。手間も少なく低コストで導入できるのではないでしょうか。

その他、映像や音声をインプット情報としたアプリケーションの開発は、様々な用途への可能性の扉が開かれていると考えます。現在、Microsoft Researchから「Kinect」SDKのベータ版が出ており、今後、「Kinect」を活用したさまざまなアプリケーションの開発が進むと思われます。製造業や物流など様々なビジネスの分野で活用されることが期待されます。

コラム担当:イノベーションデザイン推進部
原田 孝一

※執筆者の所属は執筆当時のものであり現在とは異なる場合があります。