コンサルタントなんて嫌い?

はじめに

「コンサルタントなんて嫌い。」「専門業者なんて信用できない。」「コンサルタントの提案は机上の空論。」これは恥ずかしくも良く聞く言葉で、営業先の企業経営者や従業員の方からコンサルタントに対する不平・不満が出てくることは結構多い。

当社はコンサルティング会社で、私はコンサルタント。私自身も初対面の営業先でそのような言葉を頂戴し、その度に深く反省させられ自身の慢心を戒めることがあります。せっかくの機会ですので巷にあふれる不平・不満をネットで検索してみました。

コンサルタントに対する不平・不満

  • 「先生」と呼ばれているせいか、大企業出身のエリートのせいか、とにかく態度が偉そう。
  • ひとの話をロクに聞かないくせに、「○○しなければならない」「○○するべき」など一方的な押し付け提案や危機感を煽った売り込みが多い。
  • 専門用語が多いせいか、言っている言葉が難しくて理解できない。
  • 頭でっかちの知識バカな上に、社会経験不足、実務経験ゼロ。
  • 大企業では可能かもしれないが、中小企業では実現不可能な提案をされても意味がない。
  • その辺の市販本に書いてある内容の説明だけで終わっている。
  • 書類は分厚く小奇麗に見えるが、中身が無く意味不明で読む気すら薄れる。
  • 経営者との間で勝手に決めてしまい、従業員には説明すらなく、「こうしろ」「あれやれ」と一方的な命令をするだけ。
  • 同業者同士のネットワークはあるが、他の専門家とのネットワークがないせいか、提供される情報には偏りを感じる。
  • 料金体系が曖昧で、何故そんなに高額になるのかの根拠も不明確。

悲しいことにまだまだ書ききれない程、たくさん出てきます。そして最後にもう一つ・・・。

  • 実力のある会社や実績のあるコンサルタントの下で働く、未だ実績が十分でないコンサルタントは、自分の能力は会社の看板やトップの能力の庇護の下にある、という現実を厳しく自覚すべきであり、それに気づかずコンサルタントとして活動を続ける人間は早々に転職すべきだ。

不平・不満だけを検索していると耳が痛いと思うと同時に心も病んできます。
ここまでお読み頂いた皆様方は、このような意見をどのように思われたでしょうか。
「確かにそうだ」と大きくうなずいている方、「いや、私はそうは思っていない」方、多々いらっしゃるのではないかと思います。

コンサルタントに求められるもの

上記のような不平・不満の多くは、コンサルタントとクライアントとの間の受取り方の違いから生じているのではないかと考えています。

コンサルタント側は、「より専門的な知識で」「問題を指摘し解決策を提案する」と思っていても、クライアント側は、「難しい上に非現実的」「結論ありきの押し付け提案」と受取っているようです。
この違いを調整するため、コンサルタントに求められるものは、経験や専門知識から解決策を単に提供するだけではなく、クライアントとの質疑の中から問題点を抽出し、表現し、時には壊し反論を交えながら組み立て、最終的に解決策へと導く役回りだと思います。

書籍「選ばれるプロフェッショナル」(英治出版)では、この役回りを「アドバイザー」と定義し、「エキスパート」と対比して説明されています。

エキスパートとは、ある特定分野で専門性を有し、解決策(結論)を提供する。
アドバイザーとは、専門知識と幅広い知識を有し、解決できるように質問を投げかけ、クライアント自身で解決できるように導く。

エキスパートは「結果」に、アドバイザーは「過程」に重きを置いたサービスと言えます。

さいごに

コンサルタントと一言で言っても、経営コンサルタント、ITコンサルタント、フードコンサルタント等々、数々のコンサルタントが存在します。数多く存在する故に、過去の苦い経験や不相応な対応を受けたマイナスイメージからコンサルタント嫌いとなっている方も多くいると思います。しかし、特定分野に限らず幅広い知識を持ち、かつ、クライアントから信頼されるコンサルタントも数多くいることも事実です。
イメージだけで門前払いをせず、少しでも耳を傾けて欲しいと節に願います。

当社は、エキスパートを目指すだけでなく、クライアント目線に合わせたアドバイザーとして一歩進んだコンサルティングサービスを引き続き提供して行きます。

“ Evolving from an Expert for Hire to an Extraordinary Advisor “
(雇われエキスパートから、信頼されるアドバイザーへ)

参考文献:

  • 「選ばれるプロフェッショナル?クライアントが本当に求めていること」英治出版

コラム担当:イノベーションデザイン推進部
三橋 輝久

※執筆者の所属は執筆当時のものであり現在とは異なる場合があります。