IT転換期なう

Twitter、その可能性

最近、自分がつぶやくだけでなく、情報収集のツールの1つとしてTwitterを使うことがあります。例えば、
「あの歌番組に、もうあの歌手は出演してしまっただろうか?」
「このお店、どんな評判かな?」
そんな時はTwitterのハッシュタグ検索という機能を使って、知りたい事柄に関するつぶやきをリアルタイムに見て把握出来ます。特定のコミュニティをベースとするSNSと違って、個々人それぞれのつぶやきの情報が把握できるので、非常に情報がフラットな印象があり、私はよく利用しています。

企業もそのTwitterの可能性に着目し、Twitterマーケティング・Twitterブランディング・Twitter採用など、その利用の可能性は、現在模索されている最中です。

企業が個人の顔を持ってTweetしだした

企業のTwitter利用も色々です。企業ブログやリリース情報だけをTwitterに流している企業もありますが、草の根的に1人でも多くのファンを増やそうとしている試みがうかがえるものもあります。

新聞社のTweetで、「記者の一言(ニュースに対するコメントもしくは感想)+記事のURL」形式で、公式記事に一言加えているもの。
最近ではサッカーのワ?ルドカップで、記者が専門的とは違う視点でTweetしたアカウントのフォロワー数が増え、話題にもなりました。

ポイントは、企業が自身の都合ではなく、個人の視点でつぶやいているということです。フォロワーは、その企業の声が聞きたいのではなく、その人個人の声が聞きたくてTweetを読むのでしょう。

消費者サイドがリードする時代へ

企業が個人としてソーシャルメディアでつぶやくということは、企業のブランドを保ちながらも、公式ホームページとは違った声をリアルタイム、ダイレクトに顧客・消費者に届けるということ。まさに、個人の魅力が価値になる世界であり、プレスリリースの没個性とは対極の存在にあるといえます。

企業は、顧客接点を自ら創り出し、発信し、顧客からの声を吸い上げ、新たなビジネスにつなげていくというチャレンジが求められていくのではないでしょうか。

アマゾンが800億円かけても買収したがった「ザッポス」

顧客接点の重要性を認識し他の経営戦略とは異なる戦略をとって成功した例が、アメリカの靴の通販サイトであるザッポスです。

ザッポスの戦略は、今までオンライン小売業で常識であった「IT利用による情報共有を進め、効率化を追い求める」ことと対照的なものです。ザッポスでは、他企業で、まず第一に削減すべきコストと考えられているコールセンター業務に対し、徹底的な投資を行いました。また、”社員によるブランディング”としてTwitter、ブログの使用を効果的に取り入れています。以下は実際にザッポスが行った戦略の具体例です。

  • コンタクトセンターに、400名を超える正社員を配置する。その社員対応にはマニュアルがない。返金やクーポン,特別配送手配など幅広い決裁権が与えられている。
  • ツイッターの使用を奨励し、500人超の社員が公開活用している。規約はなく自主性にまかせている。
  • ブログは、CEO/COOトップが自らメッセージを伝え,Inside Zapposでは社員やバイヤーがかわるがわる登場して思いを述べている。

結果、ザッポスの顧客関係コストは他社と比べて高いが、オンライン小売業では異例の75%というリピート売上率を達成。また新規顧客の43%が口コミによるものです。アマゾンがザッポスを最大のライバルと意識しながら、最終的に800億円という多額な金額で買収を行ったのも、その金額を投資しても手に入れたい顧客からの圧倒的な支持があったのでしょう。

ITは削減ツールからの転換を迎える

ガートナーの調査によると、世界の先進企業のIT投資の目的は、今までの効率化追求から生産性の向上へと方向性を大きく修正しているといいます。日本はまだ景気の影響が根強いためか効率化目的でのIT投資の割合が大きいようですが、転換の時期にあることは間違いないでしょう。

「顧客サービスは経費ではない。投資である」とは、ザッポスのCEOの言葉です。

ITを使用して業務を効率化していくところから、いかにITを使いこなし、人の多様化するニーズに応えていくか。企業のTwitter使用は、その転換の大きなきっかけとなっていくのではないでしょうか。

参考サイト:

  • 驚きの反常識!ザッポス流マーケティングの真髄とは:In the loop:ITmedia オルタナティブ・ブログ

コラム担当:イノベーションデザイン推進部
仁尾 瞳

※執筆者の所属は執筆当時のものであり現在とは異なる場合があります。