「教養」を身につける

教養の重要性

最近のビジネスパーソンは、仕事に追われてしまい、ついつい即効性の高いスキルや知識にばかり目を奪われがちであり、「教養」の重要性が薄れている傾向にあると言われています。
事実、日々の仕事の中で、「物事を歴史上の出来事や人物にたとえて説明する上司やお客様の話が理解できなかった」などという経験を持っているビジネスパーソンは少なくないはずです。

一般的に「教養」とは、独立した人間が持っているべきと考えられる一定レベルの様々な分野にわたる知識や常識と、古典文学や芸術など質の高い文化に対する幅広い造詣が、品位や人格および、物事に対する理解力や創造力に結びついている状態を意味します。

ニュースでも、「まさに平成の蟹工船と言える」や「新党結成のため坂本龍馬となる」などのフレーズは、教養あっての表現力と理解力が必要であるといえます。

教養の効果

20代と30代のビジネスパーソン400人を対象とした、「教養」に対するアンケート結果によると、「教養を身につける理由は何ですか?」という質問に対する上位回答は以下の通りとなっています。

  1. 人間的な魅力を高めるため
  2. 物事の本質を見極める判断力を養うため
  3. 精神を豊かにバランスのとれた人間形成を確立するため

確かに「教養」を身につけることにより、人としての魅力を高められ、 精神を豊かにできれば、人間力を増すことができそうです。
またビジネスパーソンとしてもお客様との仕事以外でのコミュニケーションで、話のネタとしてより多くの引出しを持っていることで会話が弾み、仕事以外での一面を見せることで、より良いリレーションを築づくことができると考えられます。

ただし、「教養ある人間」、すなわち教養人が相応の尊敬を得るのは、単に知識が豊富であるということだけでなく、人間性という実を伴うため、単に知識をひけらかすだけの人間性では「教養」を身につけたことが台無しになってしまいますので注意が必要です。

教養を身につける

教養は多岐に渡り、主な分野としては、文学、哲学、宗教、芸術、音楽、歴史、文化などがあげられます。

では具体的にはどのような教養を学ぶ、もしくは体験すればよいでしょうか。
一例を以下に挙げたいと思います。

  • 日本文学を学ぶ 例:「源氏物語」「徒然草」「吾輩は猫である」「蟹工船」を読む
  • 哲学を学ぶ 例:「種の起源」、「星界の報告」、「相対性理論」を読む
  • 異文化宗教を学ぶ 例:「イスラム教」、「ユダヤ教」を学ぶ
  • 伝統文化を学ぶ 例:「歌舞伎」、「落語」、「浄瑠璃」を見る。「茶道」を体験する
  • 芸術を学ぶ 例:「オーケストラ」を鑑賞、シェークスピア「ハムレット」を見る
  • 歴史変革を学ぶ 例:「竜馬が行く」「三国志」「ガリア戦記」の歴史変革書物を読む

皆さんはいくつの教養を学び、体験していますか?

仮に現状の知識が乏しいからといって、その状況は非難されるものではなく、 知識を求めて学ぶことで品位と人格を高めようとする心構えが重要であるため、これから学ぶことで充分身につけることができます。

また、前述のアンケート結果によると、「広く教養を身につけていると思いますか?」という質問に対して、「身につけている」と解答した人は全体のわずか1.6%となっています。

この結果からも分かるように、「教養」を身につけていると言える人はごくわずかです。
私も今年になってから、「教養」を身につけるよう始めたばかりで、前述で該当するものは、ほんのわずかです。

教養を学んでいると仕事はもちろん、生きていく上での考え方や姿勢を学べることは実感できているため、今後も継続して人間的な魅力を高めて、あらゆる場面で役立てて行きたいと考えています。

参考文献:

  • 『「教養」とは何か』講談社
  • 『「大人の教養&マナー」を身につける』 日経BP社

コラム担当:イノベーションデザイン推進部
風間 英治

※執筆者の所属は執筆当時のものであり現在とは異なる場合があります。