成長著しい東南アジアの活用
第一回:オンライン英会話の効用
株式会社ジェクシード 顧問   伊東 正行

細井社長が社員の皆さんにメッセージされている、「100%に加えあと1%の創意・工夫・努力」をという標語は、実に斬新で素晴らしい提案だと感心させられる。また機会がある度に、社員の英語力向上の必要.性と、会社もそれをサポートすることに言及されている。
そこで本日は、普段は海外(マレーシア)に住んでいるグローバル顧問という立場から、意外と気軽に出来るが、結果として「あと1%の創意・工夫・努力」を具現化し英語力を向上させるための取り組みを1つ紹介させて頂きたいと思う。(核心だけを読みたい方は、いきなり2.からお読みください)

1.成長著しい東南アジアでの将来展開を睨むと、どうしても必要なのが社員の英語力

私がここ2~3年の間に訪問したことのあるフィリピン・カンボジア・タイ・インドネシア・マレーシアに、ミャンマー・ベトナム・ラオスを加えたいわゆる東南アジア8国の2012年の実質経済成長率は5~8%台。1~2%が一般的な先進各国と比べて著しい成長ぶりである。また面白いのは、これらの国々への物流や金融・システムなどの供給の起点的な機能を果たしている香港やシンガポールの実質経済成長率は、既に1%台になっている点である。

東南アジアの一般人の英語習熟度は、我々日本人が想像している以上に高いことに驚かされる。例えばフィリピンならタガログ語・マレーシアならマレー語(日本なら日本語に相当)というその国固有の国語は当然あるが、植民地を経験していないタイを除いて、公用語としても広く一般社会で英語が使われている。私が暮らすマレーシアでも、街のレストラン、ショッピングモール、官公庁などでも、殆どの人が英語とマレー語の両方を話せる。また華僑系の人々の間では、これに加えて複数の中国語(北京語、広東語、福建語等)が更に日常生活の中で使われている。香港やシンガポールも同じである。

オラクル社やSAP社のパッケージソフトは既にグローバル展開しているので、今後、Gexeed社が日本企業の東南アジア進出をフォローする形や、現地のパートナー企業と協業して、アジアの成長を取り組むために日系・非日系両方のERP関連ビジネスを現地で展開してゆこうとするならば、コミュニケーション手段としての最低限の英語力は、ビジネスでも日常生活でもどうしても必要になってくる。(前出のタイでさえビジネスでは英語でコミュニケーションを取るのが一般的)

細井社長が社員の皆さんの英語力向上を促しているのは、企業戦略上、将来を見越した実に的を得たものと言える。

2.1日は24時間、その1%は約15分、毎日簡単にできる楽しい取り組みの継続が力に

私は、Gexeed社の社員の皆さん、そして将来成長著しい東南アジアまで自分の自己実現の場を広げて考えてみたいという皆さんに今回、オンライン英会話を紹介したい。
これが日本と東南アジアの地理的な違いを背景とした価格差・人材の偏在をうまく活用した、利用する側にも提供する側にも共に大きなメリットがあるwin-winのビジネスモデルであることは良く知られている。

海外経験のない専業主婦である私の50代の妻が、この1年半の間あるオンライン英会話でレッスンを続けているが、成果は期待した以上で、海外で生活する上でまったくコミュニケーションに不自由しなくなった。志ある若い社員の皆さんであれば、更なる大きな効果を得られることが容易に想像される。
このレッスンのシステムは、フィリピンの大学卒の英語教師と好きな時間に予約を入れてマンツーマンでオンラインレッスンを受けるものである。毎日1コマ15分単位、6:00am~25:00amの間レッスンが可能で、空いていれば予約は10分前まで可能。また30分前までなら予約を変更することもできる。スカイプで国境を越えて気軽にマンツーマンレッスンを受けることができる。

比較的初期段階で、自分に合った良い先生を数名探しておくのがポイントらしい。レッスンの内容は、個々の志向とレベルに合わせて、ビジネス英語のテキストを使ったり、TOEIC準備のためのレッスンや、様々なトピックについてフリートークすることで表現力やスピーキング能力を向上させたりと、色々な使い方がある。

1日は24時間、その1%は約15分、例えば、会社での昼休みや仕事の合間の休憩時間を活用しても良いと思う。勿論、出勤前や出勤後のレッスンでもかまわない。1日2コマ(これだと、細井社長のおっしゃる、「あと1%の創意・工夫・努力にプラス1%」となるが)を毎日続けて費用は月6,000円程度である。

昔、ボーリングの有名なプロがアマチュアへのアドバイスとして、沢山のゲーム数を一度に投げるより、1日1ゲームでよいから毎日投げてくださいと言っていたのを思い出す。語学の向上も同じ理屈であると確信する。

3. 今後もまた使いそうだと思った単語を毎日、1つずつ覚えよう

数年前、私は当時米国カリフォルニア州で三位の預金規模を持つ銀行の頭取をなさっているある日本人の方のご自宅を訪ずれて、色々とお話を伺ったことがある。その方は、帰国子女でもなく、大学を出て勤めた日本の銀行からの企業派遣で、初めて米国のロースクールに留学し、その後日本の銀行が米国の銀行を買収したことから現地に派遣され、米国人社員からは彼こそ真の経営者だと尊敬を集め、現地の米国人社会からも一目も二目も置かれる存在として活躍なさっていた。

私がご自宅に伺う前日、カリフォルニアの有名なホテルのカンファレンスルームで米国人記者のインタビューに堂々と答える彼の姿を見て、羨ましく思ったものである。

その彼が自宅で私にそっと教えてくれたことがある。実は50半ばとなり頭取になった今でも、朝起きて出勤するまでの間に、毎日1つでよいから新しい単語を覚える努力を続けているというのである。
この方でもそうなのである。米国や英国といった英語を母国語とする社会で現地の人たちと対等にやってゆくには、大変な努力が必要だと改めて思った。

これに対して、東南アジアにおける英語は、現地の母国語ではない。公用語ではあるが、いわば第二言語である。20~30個くらいのよく使う決まり文句を日常的には話していれば結構いけるものである。またこの単語はこれからのビジネスや日常生活でまた使うだろうなと思ったものに出会ったら、毎日1つで良いからこれを何度も繰り返しては忘れ、また繰り返して覚えるという根気こそが大切だと思う。

我々の日常生活を考えても、日ごろ使っている日本語の言い回しや単語はそんなに多くない。1日1つの単語(または言い回し)を覚えることを3年続けたら、1095にもなる。これに今まで知っている単語を合わせたら、東南アジアでビジネスをするには十分すぎる英語力ということになると思う。

以上で第1回目を終わることとするが、このコラムが読んでいただいた皆さんの今後のキャリア形成や豊かな生活を送る上で、少しでもお役に立てればこんなに嬉しいことはない。