インストラクターの目から見た『本人の自己改革』について

現在、企業には「定年の廃止」や「定年の引き上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じることが義務付けられ、毎年6 月1 日現在の高年齢者の雇用状況の報告が求められています。平成24年10月の厚生労働省発表の資料によると、上述の報告をした従業員31 人以上の企業14万社のうち、高年齢者雇用確保措置を「実施済み」の企業の割合は97.3%、希望者全員が65 歳以上まで働ける企業の割合は48.8%となっています。さらに、70 歳以上まで働ける企業の割合も18.3%となっています。 また、過去1 年間に定年年齢に到達した約43万人のうち、継続雇用された人は73.6%、継続雇用を希望しなかった人は24.8%でした。

このような社会背景を受けて、経験豊かなシニアな方々に社に残って活躍していただくためにはどうしたら良いのでしょう。それには、『制度や仕組み作り』と『本人の自己改革』両方が必要です。『制度や仕組み作り』は、人事コンサルタントの方々にお任せして、このコラムでは、インストラクターの目から見た『本人の自己改革』について考えてみます。

シニアな方々の周囲の方々にお伺いすると、『過去の立場や職位のままの仕事のやり方を継続されて周囲が煙たがっている。』『モチベーションをさげるような後向きの発言をされて、チームの士気に影響する。』『どう話しかけて良いのか分からない。』・・・といったマイナスの声が聞こえてきます。一方で、『自分の知識をわかりやすくドキュメント化してくれており、先人の知恵として役立っている。』『閉塞感に陥った時にタイミング良く的確なアドバイスをしてくれて局面を打開できた。』『積極的にコミュニケーションを取ってくれて相談しやすい。』・・・といったプラスの声もあります。

チームの中の個人としてプラスの声を一つでも多くするためには、まずは周囲の方々や組織の自分への期待を知ること。一方で、自分自身に問い直し、自分のやりたいこと、できることを明確にすることが必要でしょう。この二つがマッチングすればハッピー・エンド(継続?)ですが、なかなかうまくゆかないのが現実です。

では、どうすれば良いのか?現状認識に立って、一つは、今までの仕事の延長線で考える。ただし、自分がやってこなかった内容でもできることを考えること。もう一つは、新たな方向性を探ること。生産の現場しか知らないから、営業の最前線では働けない。と最初から決めつけないでください。新たなチャレンジに対しては年を重ねるごとに臆病になります。でも、考えてみてください。これからさらに5年、10年の会社生活を続けるなら、まだまだ時間はあります。うまくやろうというプライドより、新たな自己実現の可能性を探ってみてはいかがですか。みなさんが、その気になったら、潜在能力チェックの客観的指標で皆さんを後押ししたいと考えています。57歳で転職した私と会話してみませんか?

コラム担当:教育事業部
塚崎 俊二

※執筆者の所属は執筆当時のものであり現在とは異なる場合があります。