名将のリーダーシップ
はじめに
コンサルティング業界ではプロジェクト単位で仕事をすることが多々あり、大半を占めます。その為、各プロジェクトにおいて大小さまざまな組織にて色々な人と仕事を進めて行くこととなります。
その様な組織の中で、組織の目的を達成する(成功に導く)為のポイントの一つとしてリーダーの存在が挙げられます。プロジェクトの成功はリーダーにより左右されると言っても過言ではありません。
本コラムでは、リーダーとしての心構えについて名将と呼ばれるプロスポーツチームの監督を例に挙げ少し紹介をしたいと思います。少しでもリーダーを担う方の参考になれば嬉しく思います。
チームスポーツにおけるリーダー
組織あるところにリーダーあり、それはビジネスだけではなくスポーツも同様です。
ビジネスと同等、もしくはそれ以上にスポーツの世界は結果を求められる世界だと言われています。その最たるものがサッカーです。チーム(組織)が低迷すれば真っ先に首が飛ぶのはリーダーたる監督に他なりません。
常に結果を求められるサッカーの世界において結果を出し続ける監督のリーダーシップの中にはビジネスにおいても、リーダーとしてあるべき姿のヒントが隠されているのではないかと思います。
名将と呼ばれ、数々の偉業を成し遂げてきた監督の発言からそのリーダーシップを発揮し、結果を出し続けるに至った彼らの一例を紹介します。
名将の発言1
『この世界では結束力を侮ってはならない。結束力がないと使いものにならない。自分本位や派閥主義はサッカーチームには致命的だ。サッカー監督としては単なる優秀選手の寄せ集めには興味はない。確かに才能に勝るものはないが、試合では共通の目的を目指さなくては才能も台無しになってしまう。』
アレックス・ファーガソン(1941年生まれ)
- 1986年よりプレミアリーグのマンチェスターユナイテッドの監督に就任。
- 12/13シーズンで在任27年目となり、12度のリーグ優勝、2度のチャンピオンリーグ優勝を成し遂げる名将。
ポイント
- 共通の目的を持った組織は強力で、結束力が組織の力を何倍にも高める
- 目的の共有、結束力の大切さについて触れた言葉
名将の発言2
『リーダーとは何か。私にとって、それは命令を下すことではない。ガイドすることだ。』
ジョゼ・モウリーニョ(1963年生まれ)
- FCポルトにて国内リーグ&カップ、UEFAカップ、CLなど数多くのタイトルを獲得。
- 以後、チェルシーで50年ぶりのリーグ優勝を含むリーグ連覇
- インテルで史上初の3冠(CL、セリエA、コッパ・イタリア)
- レアルマドリードで国内リーグ優勝を果たすなど数々の偉業を成し遂げている稀代の名将
ポイント
- リーダーの仕事は一方的に指示することではなく、メンバーからの意見に耳を傾け、フィードバックをして導くこと
- メンバーの話を聞くこと、コミュニケーションの重要性について触れた言葉
リーダーとしての心構え
ほんの一部ではありますが、名将の発言を紹介しました。リーダーとしての心構えで大切なポイントが含まれていると思います。
- 目的の明確化と共有
ファーガソン監督の言葉通り、共通の目的に向け結束しなければチーム(組織)は十分な成果を発揮できません。 明確な目標(目的)を掲げ、それをチームに浸透させ、チーム一丸となってその目標に向かい突き進むこと、 これらを念頭にリーダーを担うことが重要なポイントであると私は解釈しています。
- メンバーとのコミュニケーション
一昔前は圧倒的なカリスマ性でグイグイ引っ張っていくのが理想のリーダーとされていました。 しかし、情報の多様化や組織、環境の複雑化と言った時代の変化にともない、ここ数年では「フォロワーシップ」という言葉も注目を浴びてます。 リーダーだけでなく、フォロワーもリーダーと同じように主体性を持って考え、行動することを指しています。
モウリーニョ監督の言葉は、まさにそこに当てはまります。 メンバーの話を聞き、理解した上で指示ではなく導くこと、即ち命令ではなくガイドすることが これからのリーダーにとって必要な資質になるのではないかと私は解釈しています。
おわりに
理想とされるリーダー像は、時代や属する組織の環境により大きく変わってくるのだろうと思います。それに応じてリーダーとしての心構えも柔軟に変えて行く必要があると私は思います。
本コラムではスポーツ、とりわけサッカー界のリーダーに関して紹介しましたが、それ以外でも例えばレストランの総料理長や劇団の団長、座長といった各分野のリーダーの考えからも何かヒントを得られるかもしれません。また個人的には集団生活をおくるオオカミやライオンの群れのリーダーに関しても、何か参考にできるものがあるのではないかと興味があります。
余談
私個人の思いとしては、やはりカッコいいリーダーに憧れてしまいます。以下、北京オリンピック女子サッカー3位決定戦のドイツ戦に臨む直前のミーティングでの言わずと知れた彼女の名言です。
・・・言ってみたい。
『苦しい時は私の背中を見なさい』
澤穂希(サッカー日本女子代表、FIFA最優秀選手賞(2011))
参考文献:
- サッカー名監督 超一流の思考
コラム担当:ビジネスコンサルティング部
麻場 正史
※執筆者の所属は執筆当時のものであり現在とは異なる場合があります。