仕事の報酬とは何か

仕事の報酬とは

「毎日一生懸命頑張っているのに、どうして給料は上がらないのか!」
社会人になって仕事に慣れてくると、必ずと言っていいほど聞こえてくる言葉がある。

仕事をして利益を上げ会社に貢献をしているのだから、もっと評価してほしい、給料をあげてほしいと、訴えたり、悩んだり、最終的には退職してしまう人がいます。

実際に20代の社会人500人を対象に退職理由のアンケートを実施したところ、待遇面を理由に退職をしたという回答は2位にランキングされています。
このように訴え、悩み、辞めてしまう人は、仕事の報酬 =「給料」という考えが念頭にあると思われます。

もちろん、働いた対価として給料 = 報酬をもらうことは法律でも決まっており、決して間違いではありません。でも本当に、仕事の報酬は「給料」だけなのでしょうか?
今一度考えて見ましょう。

労働が報われるタイミング

普段の生活の中で必要な物はお店で購入をします。この消費行為は、その場ですぐに効果があらわれます。
100円を支払えば、100円の飲料水が手に入り、20万円支払えば、20万円の電化製品が手に入ります。この消費感覚を仕事に結び付けてしまうと、「これだけ働いているのに、なぜこの給料なのか!」という感覚に陥ってしまいます。

社会人1年目を思い出してください。
入社してすぐに仕事ができる事はなく、マナー研修をはじめグループ講義など、さまざまな研修を終えてから各部署に配属され、そこからまた先輩に習って仕事を覚えていき、少しずつ会社の戦力になっていきます。

そのような期間であっても会社は給料を支払います。会社から見れば、「投資」となり、稼げない従業員に給料を支払っています。ここにはすぐに効果はあらわれません。
投資をして、会社に利益として返ってくるのは、仕事に慣れ始めた数年目以降になります。

つまり会社にとっての投資が利益を産むにはタイムラグが発生します。
これは従業員にとっても同様で、労働が報われるにはタイムラグが発生し、リアルタイムに効果があらわれる消費行為とはまったく別物なのです。

信頼貯金をする

おそらく大半の方が、「なぜこんなに頑張っているのに・・・」と考えたことはあるでしょう。私もその一人です。でもここで投げ出すと大きな損失をすることもあります。
まず考え方として、仕事の報酬は「仕事」であるというスタンスを持ちあわせることです。

社会人1年目、中途入社でも同様に、入社した時点では、会社に対し何の実績も上げていないため信頼はゼロです。信頼は仕事を重ねていくことで少しずつ積み上げていくものです。
最初は小さな仕事でも、確実にこなしていくことによって、少しずつ大きな仕事を任せられ、大きな仕事をこなすことにより、より多くの信頼と実績を作り上げることができます。

この積み上げが、次の仕事へのステップとなり、よりレベルの高い責任ある仕事を任せられることになります。こうした実績の積み重ねが、「信頼」という貯金を増やし、実績と信頼はもちろん、地位や人脈、そして報酬といった大きな利益となって返ってきます。

選択肢として、給料の良い他社に転職するという選択も決して間違ではありませんが、もう1度ゼロから信頼貯金をしなければなりません。またこの行動によって、後から返ってくる大きな利益を放棄することにもなりかねないということです。

繰り返しになりますが、労働が報われるにはタイムラグが発生します。
「仕事の報酬が仕事であるというスタンスが成長を早め、経済的にも大きく成功する。」
このような考え方を持ち合わせることにより、日々の仕事にもやりがいを感じ、やがては大きな成長と飛躍を遂げることになるでしょう。

参考文献:

  • 『働く人の心に効く耳の痛い話 』 日経BP社
  • 『退職理由のホンネランキング 』 リクナビNEXT

コラム担当:イノベーションデザイン推進部
風間 英治

※執筆者の所属は執筆当時のものであり現在とは異なる場合があります。