「変わらない」というリスクを考える

変化への対応

日本は65歳以上の人口比率が20%を超え、1世帯当たりの平均所得は10年前と比較して100万円減少、消費者物価指数は前年比1.4%下落しました。

今までとは明らかに違う環境下で今までと同じ対応をしていたのでは、期待する成果は得られません。「ターゲット顧客を再設定する必要はないか?」「お客様が求めているものに変化は無いだろうか?」と、今を疑い変化させていくことが必要です。

しかし、人間はなかなか変化できません。「ゼロベースで考えろ」「成功体験を忘れろ」と言われても、過去の経験や体験を元に考えてしまいますし、経験の無いことには不安を感じてなかなか一歩を踏み出せないものです。

「変わらない」というリスクを考える

皆さんの会社やグループでは、経験の無いことに取り組んだり、今までのやり方を変えることを受け入れてもらえますか?

「やったことはあるのか」、「今のやり方をなぜかえる必要があるのか」といった声が強く、変化を受け入れにくい状況になっていませんか?

競争が激しく、ビジネスのスピードも格段に速くなっている現代は、一歩遅れることにより他社に先行され、あっという間に置いていかれてしまいます。 多額の投資が伴うことでなければ、失敗するリスクよりも機会損失のリスクの方が大きいのではないでしょうか。

「変わらない」ということのリスクを認識し、変化を受け入れやすい文化を醸成していくことも、競争力を高めることに繋がります。

組織文化マネージメント

弊社の人事領域のコンサルティングサービスに「組織文化マネージメント」があります。

このサービスでは、お客様企業の設立趣旨や経営理念を再確認した上で、今の時代に合わせて変えていくべきビジネスモデルや組織のあり方、事業の推進に求める人財像などを定義していきます。
お客様企業内でリーダーとなってもらう方々に集まってもらい、変わることの必要性や変わらないことのリスクを検討しあい、どう変わるべきかを自分たちで導き出してもらいます。

トヨタのリコール問題も、急速なグローバル展開の中で「カイゼン」の組織文化をしっかりと浸透させることができなかった点が上げられています。また、「安定」という幻を求めて入ってきた新しい人達は、現状を良しとして、周りの変化に気付かずにいたために事態を大きくした面もあると思います。

変化することを組織文化として持ち続けることは難しいことなのです。

変化するための考え方

事業環境の変化の中で、今を疑い「変化するための考え方」として、いくつか例を記載します。

1.市場を広げる
今までのターゲット以外に市場を広げられないか検討する。
例:子供向けに作成したキャラクタ商品を、女子高生にターゲットを広げる

2.バリューチェーンを広げる
事業領域の上流や下流にビジネスを広げられないか検討する。
例:教育教材の販売から、塾の経営に事業を広げる

3.継続を考える
単発の売上ではなく、時間軸を考慮して継続した関係構築を行う。
例:初期コストなしで商品を提供し、利用料を徴収する

4.ユーザを絞り込む
市場を広げるのではなく、ターゲットを絞り込んで「あなたのために」を意識する。
例:高齢者向けに機能を絞り込んだ携帯電話

5.人と逆のことを行う
皆が向かっている方向ではなく、逆の方向に目を向ける。
例:スピード仕上げのクリーニングとは逆に、オフシーズンの衣料を預かってしまう

皆さんも試しにいろいろと考えてみてください。そして、会社やグループで、変わることの必要性と変わらないことのリスクを検討してみてはいかがでしょうか。

コラム担当:イノベーションデザイン推進部
富山 達朗

※執筆者の所属は執筆当時のものであり現在とは異なる場合があります。